そうだ、小説を書こう。
小説家になるのが夢だった
小説家になりたいと思っていた。 それはもう長い夢である。
小説家になるには小説を書く必要があるが、これまで1つも書いていない。 だから、いつの日からか小説家になる夢が遠くなり、小説を書くことが夢になった。
しかし夢は負債を生む。 夢を叶えなければ、それを考える時間は人生の無駄だからだ。 小説家になれないこと、小説を書かないたびに、夢が遠くなる。
そろそろ、この夢に終止符を打たなければ、夢のまま人生が終わってしまうだろう。
書き始めることにしたが、書き出しが定まらない。 小説とは何かを全く知らないということに気づく。
ポメラDM200を本棚から取り出した
ポメラとは、キングジムという文房具の会社が作っているデバイスである。 テキストを書くことに特化したワープロのようなもの。
2年ほど前に買っていたポメラDM200を本棚から取り出した。 当時すでに発売から3年くらい経っておりオワコン感があったので2万円台で買えた。
実はこのポメラは4台目である。 DM200と同じクラムシェル型の先代機DM100はもちろん、キーボード部分を折りたたんでコンパクトにできるタイプなど、ポメラの創世記期から、ほぼ全機種を買ってきた
目的はもちろん小説を書くためであるが、しばらく持ち歩くなりして目的が達成されないと思い立った時点で売却してきた。
DM200がなぜ本棚に眠っていたか。 それはつい先日まで、発売から5年以上経ってきたことから、もしかしたらDM200がポメラシリーズの最終機になるかもしれないと噂されていたがため、売却に躊躇していただけだった。
しかし先日DM250が発売されたことで、ポメラの継続が決まり、愛好者は歓喜の声をあげていた。 そんな中、私にとっては、DM200が本棚に眠っていることを思い出すきっかけになった。
でもやっぱりDM250が気になる。もしDM200よりも書きやすいのであれば、小説が書けるようになるかもしれない。
そんなことが頭によぎるわけであるが、もう何回目だというのだ。
冷静になった私は、DM250を試すならDM200を使い倒してからではなければ意味がないと、半ば言い聞かせることでDM250への興味を停止させた。
そもそも形状が全く同じでキーボードも同じなのだから、書き味はほとんど変わらないはずである。何を期待しているのか。
師匠が新作を書いた
最近、私の師匠が新作の小説を書き上げた。
もう小説は書かないと思っていた作家が小説を書いた。 それがおもしろくておもしろくて、読む手が止まらなかった。
そして通算何百回目かの夢見る時間がやってきたのだ。
ポメラを片手に散歩した
今日、不意にポメラを持ち出し散歩に出た。 小腹が減って立ち寄ったマクドナルドでポメラを起動してキーボードを叩き始めた。
仕事で使っているいつものパソコンよりキーが小さいことに違和感をおぼえる。 手に全く馴染まないし、やっぱり書けないな、と言い訳を始める。
本当は、全くネタが浮かばないのだ。
ネタを考えている間にポメラでブラインドタッチができるようになりたいと思った。
だから、何気なく小説が書けないことを書きはじめてみた。 目的は「小説家になること」だ。
小説を書くことを目標にしてはいけないと、この文章を書くことではっきりした。 もちろんポメラを使うことでもない。 何かを書けば、何かがあきらかになる。それだけでも、書くことに価値はある。
「そうだ、小説を書こう。」
の始まりである。
よろしければ、今後とも私の思考にお付き合いください。
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